Voice of a graduate奨学生の声
— 拝啓、せんぱい【学生編】 —

県内の大学に通う赤尾育英奨学会の現役奨学生にお集まりいただき、大学生活や将来の夢についてお聞きしました(※内容は2025年6月インタビュー時のものです)。
- 【令和6年度 奨学生】写真左から
- 小尾渉介さん(健康科学大学 看護学部 看護学科2年)
- 小松洸さん(山梨学院大学 健康栄養学部 管理栄養学科2年)
- 早川琴乃さん(山梨大学 工学部 工学科コンピュータ理工学コース2年)
- 伊藤千尋さん(山梨大学 生命環境学部 地域社会システム学科2年)
―まずは、それぞれ大学に進学した理由を教えていただけますか?
伊藤さん:私は高校の時、山梨県に住む留学生を学内に招いて交流イベントなどを行う「グローバルコミュニケーションクラブ」に所属していました。その頃から海外の文化に興味があり、自分とは違う価値観や考え方を持つ人と出会って自分の視野を広げたいと思い、山梨大学に進学しました。
「今、大学で何を勉強しているの?」と聞かれると、いつも答えに困ってしまうくらい多岐にわたって勉強しています。幅広く学べることが、この学科(地域社会システム学科)を選んだ理由でもあるので、毎日新鮮で楽しいです。

早川さん:私はコンピュータを使って身近な問題を解決することに興味があり、大学で研究したいことの土台となるものを、高校の探究活動で行っていました。幼い頃から、ぶどう農家の祖父母の仕事を手伝っていたため、農業における人手不足の現状を見てきました。
経験がなくても農業に貢献できるシステムを将来つくりたいと思っていたところ、新聞の記事で、スマートグラスを使って作業を効率化する「スマート農業」の研究を山梨大学が行っていることを知り、興味がわきました。自分のやりたいことが、山梨大学のコンピュータ理工学コースでできるということで進学を決めました。
小松さん:昔からお菓子が好きで、自分で作るうちに次第に食品のことにも興味を持ち、高校では食品科学科を選択しました。さらに詳しく食品の成分について学びたいと思い、山梨学院大学の管理栄養学科に進学しました。いま大学では、タンパク質などの五大栄養素が体内でどのように機能するのか、どこで代謝されるのか、といったことを専門的に学んでいます。将来は管理栄養士になりたくて、そのために病気のメカニズムや食事療法なども学んでいます。

小尾さん:父や兄の影響で3歳からサッカーをやっていて、高校もサッカー部に所属し、チームを引っ張っていく存在になれるよう日々努力していました。将来はサッカーに携わりながら仕事に就きたいと思い、整体師を考えていましたが、高校2年の時に母が病気になり、そのことがきっかけで、自分が看護のことを勉強して近くで支えたいと思い、看護師の道へ進むことを決めました。
いま健康科学大学の看護学科で力を入れて学んでいるのは、「訪問看護」です。在宅看護について学び、さらに患者だけでなく家族との関わり方にも焦点を当てて学んでいます。
―実際に通ってわかった、大学・学部の良いところを教えてください。
小松さん:山梨学院大学の健康栄養学部は、1学年40人程度に対して教授が10人くらいいるので、1人1人のサポートが手厚く、提出したレポート課題はかなり細かい部分まで見てくれるので、大変ありがたく、学びを深めていくことができます。
小尾さん:健康科学大学は1学年が全体で60人程度と少ないのですが、その分先生方のフォローも手厚く、校内演習などで出来なかった課題があると、後日、放課後に教えてくれたりします。また、気分が上がらなかったり、悩みごとがあってテンションが低い時は、すぐに気づいて声をかけてくれます。優しい先生がとても多くて距離感も近いので、学びたい人には良い環境だと思います。

早川さん:山梨大学ならではといえば、地域の農家と協力しながら、生命環境学部ではワインの研究をしたり、私が所属する工学部ではスマート農業の研究をしています。
また私が参加している「地域リーダー養成プログラム」は、山梨大学工学部が山梨県や県内企業と連携して、企業見学や講演会を開催してくれます。それと最近、100台以上の端末がある部屋ができ、学習環境がかなり充実しています。
―学業以外に、大学に進学して良かったと思うことはありますか?

伊藤さん:県外からの学生もいるので色々な人がいて面白いのと、あとは大学に入ってアルバイトを始めて、大学以上に幅広い年齢や職業の人と関わる機会があり、自分の視野がさらに広がりました。スキル面でも、他の人の小さな困りごとに気づいたり、複数の仕事を並行して進めることができるようになりました。
小尾さん:看護学部は女性が多いイメージがあり、友達ができるか不安でしたが、健康科学大学の看護学部は他と比べると男性の割合が高くて安心しました。
球技サークルを今年立ち上げて、サークル長になっているのですが、サークル活動を通して人との関わりが増え、大学に入って良かったなと思っています。
―日頃、どのような学生生活を過ごしていますか?
早川さん:平日は授業の後に、100台以上の端末がある部屋で夜遅くまでプログラミングのコードに向き合っています。エラーが出続けて帰れない日もありますが、友達と一緒に頑張っています。休日は両親を手伝ったり、アルバイトをしたり、色々な経験を積むために東京へ行って友達と会ったり、興味のあるイベントに参加しています。
プログラミングが終わらない時は、休日でも黙々と作業をしているのですが、1日誰とも話さない日があるため、軽音サークルに入って、コミュニケーションを取るようにしています。
伊藤さん:私は、山梨大学の近くの留学生寮に住み、留学生の生活のサポートをするチューターという仕事をしています。中国やマレーシア、韓国などのアジア圏の留学生が多いのですが、寮では英語を使います。大変なこともありますが、新しく入居する留学生のウェルカムパーティーで郷土料理をふるまってくれたり、毎日が楽しいです。
平日は留学生寮から学校に通って、授業を受けて、アルバイトまでの時間は友だちと過ごしたりしています。休日は地元に帰って自営業の母の手伝いをすることもあります。

小松さん:平日は授業が終わったらアルバイトに行ったり、翌日テストがある時は図書館で友達と勉強しています。一緒に実験レポートの結果を見てまとめたり、考察を書いたりしています。
休日は1日アルバイトをして、家に帰ってから自分の苦手な科目の復習をやることもあります。友達と遊ぶ時間はあまりありませんが、バイト先の人たちと仲が良く、色々な話をするのでプライベートは充実しています。
―将来、どんな職業に就きたいですか?
伊藤さん:明確な職業はまだ決まっていませんが、山梨県庁で海外の姉妹都市と仕事をしてみたいと思っています。山梨県庁に就職した先輩がいて、県庁での仕事に憧れがあるのと、大学1年の時の韓国語の先生が韓国の姉妹都市と仕事をしていて、県庁ではこういう仕事もできると教えてもらい、興味があります。
早川さん:具体的にどの企業に行きたいかは悩み中ですが、「地域リーダー養成プログラム」を通じて、山梨県には、魅力的なものづくり企業が多いことがわかりました。私はゼロからものを作ることが好きなので、世の中のニーズを考えた上で、トライ・アンド・エラーを繰り返して作り上げていく仕事がしたいです。

小松さん:私は将来、病院で働く管理栄養士になりたいと思っています。様々な食嗜好を持った人がいますが、その人の生活習慣や考えを尊重した上で、適切な栄養指導ができる管理栄養士を目指しています。そのためには、管理栄養士の資格だけでなく、食生活アドバイザーやHACCP(ハサップ)といった資格も取得して、多角的な視点から指導できるようになりたいです。
小尾さん:看護師として数年の実務経験を積んだら、訪問看護師になりたいです。ドクターヘリに乗って被災地に救助に行くフライトナースにも興味があります。どちらにしても看護師としてのスキルが必要なので、まずは看護師として専門的な知識や技術を身につけたいです。
また保健師にも興味があり、これから保健師課程に入るための選抜試験があり、それに向けて今勉強しています。現在、山梨県の1部リーグで天皇杯に出場したりしているのですが、今後も看護師をやりながら、サッカーを続けたいと思っています。今でも現役で関東大会や全国大会に出場している父の姿を見て、自分もずっとサッカーがしたいと思っています。
―それでは最後に、奨学金制度を検討している高校生へメッセージをお願いします!

伊藤さん:赤尾育英奨学会の給付を受けて、大学生活でのハードルが下がり、色々な機会を得ることができました。今年の夏は、夏期研修で提携校の韓国に行って、現地の学生と交流しながら文化や言語を学ぶ予定ですが、もし奨学金がなかったら、金銭的な理由で諦めていたかもしれません。大学進学を検討している高校生の皆さんは、ぜひ諦めないで、自分から探して行動してみてください。
早川さん:私は進学することが決まり、経済面などで悩んでいた時に、赤尾育英奨学会のHPを見て、「山梨県の学生を応援する」という言葉に魅力を感じて応募しました。給付を受けて良かったのは、経済的理由や家庭環境などで遠慮することなく、大学進学や様々なことに挑戦できることです。色々な奨学金があるので、それを知った上で選択肢を広げていくべきだと思います。
小松さん:応募や面接の際に、自分は大学でどんなことを学びたいのか、今までどんなことをやってきたのかを紙に書いて整理しました。学費がかかるので悩んでいましたが、赤尾育英奨学会は「給付型」で「返済不要」ということを知り、そのおかげで今こうして大学に行くことができて、本当に良かったです。
小尾さん:私は親に負担をかけたくないという思いから、「給付型」の奨学金がよかったのと、看護の4年制は、他の学部に比べるとお金がかかるので、他の奨学金と「併用可能」でないと実現できませんでした。高校の時に母親が病気になったことで治療費や入院費がかかり、大学進学を諦めることも考えましたが、看護師になりたいという夢を伝えたら、奨学金のことを教えてもらいました。
大学に進学してからも、奨学金があることで、アルバイトの時間を減らして、勉強の時間に割くことができます。色々な奨学金制度があるので、高校生の皆さんは、自分で調べて行動してほしいです。

―本日は皆さん、貴重なお話をありがとうございました。
これからも夢に向かって頑張ってください。皆さんの夢を応援しています!

